ALISのインセンティブ設計を考える : 記事の評価者の場合

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記事の作成者と記事の評価下の2つの視点で、ALISのトークンエコノミーのインセンティブ設計を考えます。
ホワイトペーパーhttps://alisproject.github.io/whitepaper/whitepaper_v1.01_ja.pdf

ユーザからみて、「どうしたらALISトークンを効率よく増やせるか」という視点でインセンティブ設計を整理します。

記事の評価者の場合

結論

  • 5分以内に複数の記事を評価しないこと
  • 将来いいねを集めそうな記事に対しては早くいいねをすること
  • アリストークンを多く持つこと

が重要になります。

説明
alisのホワイトペーパーには、記事の評価者がもらえるトークン数をBi(評価者ポイント)で説明しています。

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パラメータの意味は以下の通りです。
α:評価を行ったユーザが5分以内に別の記事を評価していた場合0、そうでない場合1

つまり、5分以内に複数の記事を評価するとBiの値は0になります。




n:記事が報酬を承認されるまでに評価を行った総ユーザ数
xi:当該記事を評価したユーザの中で、何番目の評価者か

つまり、(-1/n xi + 1)は
多くの人が評価すればするほどBの値は大きくなり、
その中でも評価する順番が早いほどBの値は大きくなります。




Valid ALIS tokens owned by the owner / ALL valid ALIS tokens
総ALIS トークン量に対する、評価者のALISトーク保有量です。

つまり、ALISトークンを多く保有すればするほど、Bの値は大きくなります。



整理すると、
「5分以内に複数の記事を評価しないという条件のもと、
より多くのALISトークンを保有し、
より多くの人に評価される記事を早く評価するとポイントが多くもらえる」

ということになります。


しかし、Bの値だけのトークン量を評価者はもらえるわけではありません。



獲得トークン量の計算
獲得トークン量 = (自分の評価者ポイント(B) ÷ 総評価者ポイント) x 新規発行分ALIS x 0.1

0.1 という数字は、新規発行分の中で配布する割合が、記事を書く人に対して90%、評価者用に1%が割り当てられる設計をしているということです。

結局、B値は総評価ポイントとの割合で計算されます。
獲得トークン量は、「自分の評価ポイントが全ユーザの総評価ポイントと比較してどれくらい持っているか」
によって確定されます。



配布ロジックの今後の変更の可能性について

ホワイトペーパーには以下のような記述もあります。

我々はインフレ分の ALIS トークンのうち、90%を作成者、10%を評価者に配布するロジックを設定する

これは、初期においては記事の量が集まることが重要であると考えているからである。しかしながら、記事の量が集まった次に重要な指標は記事の評価に徐々に変わっていくだろう。その場合には評価者への配布量を増やすべきであると考える。


つまり先ほどに獲得トークン量の計算で出てきた、「0.1」という数字が変更される可能性があるということです。

当然のことです。

初期は記事の「数」自体がプラットフォームの価値に大きく影響すると考えられ、一方で時間が経つにつれて重要度は「質」を決める評価者に寄ってくると考えられるからです。


このようなインセンティブ設計の変更を踏まえると、
将来的にALISで記事を書こうとしているユーザは、他の人が書いた記事を評価するよりも今すぐ記事を書いた方が、オトクになる可能性が大きいということが言えます。








記事作成者のインセンティブ設計については次回書くことにします。